珊瑚色ラプソディ

 
収録作品:初出誌・週刊明星

1986年5月1日号~11月6日号

 
発行:集英社 1987年2月25日
装幀:亀海昌次
定価:1,029円
ISBN-10: 4087725936
 
発行:集英社文庫 1990年4月25日
解説:小池真理子
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カバー装画:長尾みのる
定価:520円
ISBN-10: 4087495744
 
発行:講談社文庫 1997年7月15日
解説:小池真理子
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カバー装画:長尾みのる
定価:570円
ISBN-10: 4062635534

著者のつぶやき

 山田裕樹という集英社文芸の編集者が岡嶋に「冒険小説を書こうよ」と言ってきたのです。その当時、日本のエンタテインメントの世界に冒険小説が台頭してきていました。そのブームを蔭で演出していたのが、山田氏でした。「冒険小説なんて書いたことないし、無理ですよ」という僕の言葉に山田氏はニタニタと笑い、そして「舞台は沖縄にしようよ」と被せてきました。
 山田氏はなんの目算もついていない僕たちを、半ば強引に沖縄に連れて行きました。話のとっかかりもないのですから、取材もまったくの当てずっぽう──ただの観光旅行みたいなものでした。それはそれなりに楽しかったのですが、とにかく小説を書かなくてはなりません。どうしようかと思っていたとき、状況が急展開しました。
 週刊明星の連載企画に穴が開き、急遽べつの小説で埋めなければならないという事態が起こったらしいのです。週刊誌の編集者は、文芸のほうで岡嶋二人が書下ろしの準備を進めているという情報を入手しました。「もう書き始められるということを伺ったのですが、それを弊誌の連載に回していただけないでしょうか?」
 書下ろしではなく、連載となれば当然原稿料がもらえます。これはおいしい。まだ、書き始めるにはほど遠い状態だったのですが、僕たちは二つ返事でそれを受け入れました。面白くなかったのは山田裕樹氏でした。すべてのお膳立てをして、沖縄取材にまで連れて行って、最後の最後で鳶に油揚げをさらわれてしまったのですから。顔合わせの席で、週刊明星の編集長と担当が話をする間中、山田氏は一言もしゃべらず、黙々と目の前のご馳走をかたづけていました。