コンピュータの熱い罠

 
収録作品:初出誌・小説推理

1986年2月号~3月号
『その鐘を鳴らすな』改題

 
発行:光文社/カッパ・ノベルス 1986年5月30日
カバーイラスト:野中昇
定価:723円
ISBN-10: 4334026524
 
発行:光文社文庫 1990年2月20日
解説:穂井田直美
解説を読む
カバー装画:長尾みのる
定価:560円
ISBN-10: 433471093X
 
発行:講談社文庫 2001年3月15日
解説:黒田研二
解説を読む
カバー装画:長尾みのる
定価:730円
ISBN-10: 4062731347

著者のつぶやき

 小説推理で前篇後篇の2回に分載したものを、カッパノベルスで出版しました。『その鐘を鳴らすな』という雑誌掲載時のタイトルはカッパのお気に召さず、もっとストレートなタイトルがいいと『コンピュータの熱い罠』になりました。
 当時、コンピューターを扱った小説がぼちぼち現われるようになりましたが、僕は前からそういった小説にほんの少し不満を持っていました。SF小説でさえ、作品中に登場するコンピューターは〈万能〉か〈諸悪の根源〉という両極端のイメージしかなく、マシンの実像とはまるで違っていたからです。おそらくそれは、作者がコンピューターのことをあまりご存じなかったからなのでしょう。
 1986年の作品ですから、今となっては描かれているテクノロジーは古くて陳腐なものです。技術面だけではなく、今の読者なら〈個人情報〉の取り扱いがあまりにも杜撰で危険だと感じられることでしょう。実際、あの当時は〈個人情報〉という問題意識が、社会的にほとんど存在していなかったのです。『コンピュータの熱い罠』は、その危険きわまりないコンピューターの運用に焦点を当てたものでもありました。