解決まではあと6人
(5W1H殺人事件)

 
収録作品:初出誌・小説推理

1984年6月号~1985年4月号
『5W1H殺人事件』改題

 
『5W1H殺人事件』
発行:双葉社/Futaba novels 1985年6月10日
カバーデザイン:熊田正男
定価:714円
ASIN: B000J6UYGA
 
『解決まではあと6人 5W1H殺人事件』
発行:双葉文庫 1989年4月15日
解説:二上洋一
解説を読む
カバー装画:長尾みのる
定価:489円
ISBN-10: 4575502189
 
『解決まではあと6人 5W1H殺人事件』
発行:講談社文庫 1994年7月15日
解説:山崎洋子
解説を読む
カバー装画:長尾みのる
定価:580円
ISBN-10: 4061857134

著者のつぶやき

 デビューする以前、乱歩賞に応募を繰り返していたころ、僕は徳山に「ニジンスキーの蹄鉄」という作品を提案しました。ニジンスキーというのは本場イギリスで三冠を獲った競走馬の名前で、もちろんその存在は徳山から聞いたのです。その馬に思い入れがあったわけではなく、名前の語感がいいというだけの理由でそんなタイトルを思いついたのでした。
 話は単純。ある殺人現場の近くに馬の蹄鉄が落ちていたのです。厩舎も牧場もないこんな場所にどうして蹄鉄が……? 主人公の刑事は、その蹄鉄の捜査を担当することになります。捜査の過程で、英国の有名な馬の名前が登場し、主人公は興奮を覚えながら捜査を続けます。ところが、結局その蹄鉄は殺人事件とは無関係でした。事件とは無関係な人間模様を暴き出したところで、小説は幕を閉じます。メインの殺人事件は優秀な別班の手によって解決し、捜査本部もめでたく解散となりました。
 ──こんなアイデアを提案してみました。馬がらみなら乗ってくるかなと思ったのですが、徳山にはこの面白さがピンと来ずイメージが広がることもなく、そのアイデアは立ち消えになりました。
 ただ、僕はそんな〈部分的な捜査〉〈ものごとの一面を追う〉という小説に魅力を持ち続けていました。小説推理から連作の話が来たとき、僕はやってみたかったアイデアを、形を変えてもう一度徳山にぶつけてみました。それで実現したのが『5W1H殺人事件』でした。〈いつ?〉〈どこで?〉〈だれが?〉……というあれです。1984年から85年にかけて掲載しました。
 パソコンをいじくり回し、現代音楽にハマっていた僕の趣味だけで書いた「HOW?」という章を書くとき、とっても楽しかったのを覚えています。この章ばかりは、ほとんど僕だけで書いたのだったと、今、思い出しました。