あした天気にしておくれ

 
第27回江戸川乱歩賞候補作
 
発行:講談社ノベルス 1983年10月5日
あとがき:岡嶋二人
あとがきを読む
カバーイラスト:藤居正彦
定価:673円
ISBN-10: 4061810790
 
発行:講談社文庫 1986年8月15日
解説:佐野洋
解説を読む
カバー装画:長尾みのる
定価:620円
ISBN-10: 4061838091

著者のつぶやき

 これは第27回江戸川乱歩賞で候補作となり、選に落ちた作品です。
 落選は〈トリックに先行作品があった〉ということと〈トリックが実行不可能である〉という判断に基づいていました。この作品を出版する際に書いた〈あとがき〉で、新参者ながらこの落選理由に楯突いた書き方をしたために、ちょっとばかり物議を醸すことになってしまいました。表現は柔らかく控えめでしたが、僕たちの主張は明らかに選考への弾劾行為だったからです。
 特に僕たちの不満は「トリックが実行不可能」とされたことにありました。あとがきでは実行不可能であることを半分だけ認めたような書き方をしましたが、自分たちの中ではまるで納得がいっていませんでした。なぜなら、作品内で使われたトリックは、30年以上経った現在でも、実行可能だからです。(当時に比べると、若干効果が減じられるという程度です)
 実行不可能の理由となったのは、勝馬投票券(馬券)の計算システム変更によるものでした。しかし、日本中央競馬界(現JRA)がその変更を行なったのは1982年10月9日だったのです。第27回江戸川乱歩賞の最終選考会が行なわれたのは、その前年1981年7月1日──翌年に行なわれるシステム変更を理由にトリックが実行不可能だと言われることはもちろんあり得ませんよね。
 競馬に詳しい大先輩作家の石川喬司さんが「あれはへんだ。だって、実行可能なんだから」と言って下さった、その言葉にとても勇気をいただいたことを覚えています。