もつれっぱなし

 
収録作品:初出誌・オール讀物

「宇宙人の証明」1992年9月号
「四十四年後の証明」1994年11月号
「呪いの証明」1995年4月号
「狼男の証明」1995年8月号
「幽霊の証明」1995年11月号
「嘘の証明」1996年4月号

 
発行:文藝春秋 1996年11月10日
装画:井筒啓之
装幀:木本百子
定価:1,427円
ISBN-10: 4163165703
 
発行:文春文庫 2000年2月10日
解説:小森健太朗
解説を読む
装画:井筒啓之
AD:関口聖司
定価:560円
ISBN-10: 4167636018
 
発行:講談社文庫 2006年4月15日
解説:村上貴史
解説を読む
装画:荒木慎司
定価:650円
ISBN-10: 4062753626

著者のつぶやき

 岡嶋二人だったころから、僕は小説における登場人物たちの台詞は〈描写〉だという考えを持っていました。人の性格は、彼あるいは彼女が〈何をどう話すか〉に最も現われるという考えがあったからです。人は皆、その人だけの言葉を持っています。その言葉には、その人のものの見方、考え方、そしてその人が置かれている環境、生い立ちも……すべてが凝縮されています。小説に書かれる台詞は、そうであるべきだと思っていました。
 自分の考えが正しいことを試してみたいと思い、オール讀物で短篇連作の機会を与えられたとき、僕は台詞だけの小説を書こうと考えました。地の文は一切排除し、登場人物の動作や視線も台詞だけで表現する。登場人物は男と女の二人に限定し、彼らがいる場所やその場の雰囲気も、地の文に頼ってはならない──そんな縛りを設けて、6本の短篇を書きました。
 執筆は難しく苦しかったけれど、大いに楽しませてもらった連作になりました。