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2017/03/28
井上夢人 小説

『99人の最終電車』──大野功一

そこで《大野功一》というわけです。
 可哀想な役回り、ですが、彼のような男のほうが、現実にはずっと多いようです。

 
 
小説中に人物を配置するとき、僕はよく〈リトマス〉と呼んでいる役割のキャラクターを造ります。
 いわゆる脇役に当たるものですが、主要な登場人物の傍にいて引き立て役を引き受けてくれる人間のことです。

 その役割を担ってもらうために、彼(あるいは彼女)は主要人物に対して正反対の性格づけがなされたりします。主人公のだらしなさを強調するために極端に几帳面な性格であったり、自由な考えの持ち主を描くために常識や決まり事に厳格に忠実な人物を設定したり、というようなことです。
 言わば、漫才でいうボケとツッコミのような関係かもしれません。

 ただ、通常の小説と違って、ハイパーテキスト小説では三宅聡や駒形千佳子にとってのリトマス役が、彼自身のパートでは関係を逆転させなければなりません。
 大野には大野の物語を用意する必要があるのですね。

 そんな《大野功一》の最初のページがこちらです。