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2017/03/19
井上夢人 小説

『99人の最終電車』──有馬直人

《有馬直人》──この人物は、作者の手抜きのような形で登場しました。
 僕が以前書いた短篇小説を駅のホームと電車のシートで読んでいるだけなのですから、連載時にはそう読まれていたと思います。

 
 
ハイパーテキスト小説では、通常のミステリー小説では不可能な表現が可能になりますが、同時にその逆もまた起こります。
「どんでん返し」というテクニックが、ハイパーテキスト小説の場合、無意味になってしまうのです。当然ですね。だって被害者や捜査側の視点だけでなく、犯人の視点も描かれるわけですから読む順序によってはどんでん返しになどならないからです。
 この《有馬直人》のパートがまさにそれでした。

 そこで、何か上手い方法がないかと考えてひねり出したのが、登場する人物に文庫本(小説)を読ませるという手段でした。
 むろん、通常のミステリーのようなどんでんとは違いますが、ある程度の役割は果たせたのではないかと思います。その成果をお読み下さい。

 そんな《有馬直人》の最初のページがこちらです。