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2017/02/11
井上夢人 小説

『99人の最終電車』──落合綾佳の23時57分

以前、ネットのどこかで『99人の最終電車』について《正しい読み方(読む順序)》を指示している評を読んだことがあります。

 
 
「同時刻の登場人物を横割りで読んでから次の時刻に進むべきだ。ある人物の最終時刻を読んでしまったら、他のキャラクターの運命もわかってしまう。わかりきったオチの話など読む気にならなくなるから」というものでした。

 この言葉に、僕はびっくりしました。

『99人の最終電車』は、それぞれの読者によって様々な読み方がなされることを最初から考慮した上で書いたものです。当然、その登場人物を待ち受ける運命を知った上で読まれることを念頭に置いて書き上げました。

 僕としては、その「オチ」へ向かう人物たちの《それぞれ》をお読みいただきたいと思っているのです。

 ですから、日下部敏郎と榎本ひとみのパートをお読みいただいた上で、敢えて「落合綾子」のパートをお読みいただこうと思います。
 当然、彼女も多くの登場人物たちと同様の運命を背負っています。24時23分に地下鉄銀座駅でなにが起こるかは、他のパートを読んだ方たちにはわかっているはずです。
 でも、その運命の一瞬に到る彼女には、彼女だけの物語があります。
 それでも、やはり「わかりきったオチの話など読む気にならない」のでしょうか……。

《23時57分の落合綾佳》はこちら。